「UTMとは何か?ファイアウォールとどう違うのか?」という疑問がある方もいるでしょう。
UTMとは、複数のセキュリティ機能を1台に統合したサービス・製品のことです。ファイアウォールに加え、ウイルス対策やWebフィルタリング、IDS / IPSなど多様な機能を備えています。
しかし、障害発生時に全機能が停止するリスクや、通信速度への影響といった注意点が存在するのも事実です。
この記事では、UTMの主な機能やメリット・デメリット、導入時のポイントについて詳しく解説します。
目次
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- UTMとは
- ファイアウォールとの違い
- UTMが必要とされる理由
- UTMの主な機能
- アンチウイルス
- アンチスパム
- ファイアウォール
- IDS / IPS
- Webフィルタリング
- アプリケーション制御
- UTMを導入するメリット
- 社内ネットワーク全体のセキュリティ強化に繋がる
- セキュリティ担当者の運用負荷を軽減できる
- コスト削減に期待できる
- UTMを導入するデメリット
- セキュリティ機能の拡張性が乏しい
- 障害が発生すると社内ネットワーク全体に影響が及ぶ
- 通信速度に影響が出る場合がある
- UTMを導入する際の重要ポイント
- 自社の状況に適したサービスを選ぶ
- サポート体制が充実しているサービスを選ぶ
- 障害時の対策を事前に行う
- 導入後の運用ルールを明確にする
- GMOサイバーセキュリティ byイエラエのセキュリティ対策支援
- まとめ
UTMとは

UTM(Unified Threat Management)とは、複数のセキュリティ機能を1台の機器やサービスに統合したソリューションのことです。
日本語では「統合脅威管理」と呼ばれており、中小企業を中心に導入が進んでいます。
従来は個別に導入・管理していたファイアウォールやアンチウイルス、Webフィルタリングなどのセキュリティ機能を一元化することで、効率的な運用とコスト削減を実現します。
サイバー攻撃の手口が多様化する中、複数の脅威に対して包括的に対応できる点がUTMの大きな特徴です。
ファイアウォールとの違い
ファイアウォールは、通信の許可・拒否を判断する単一機能のセキュリティ対策です。
社内ネットワークと外部ネットワークの境界で不正なアクセスを遮断する役割を担いますが、マルウェアやスパムメールといった脅威には対応できません。
一方でUTMは、ファイアウォール機能に加えてアンチウイルス、アンチスパム、IDS/IPS、Webフィルタリングなど複数の機能を統合しています。
つまり、ファイアウォールはUTMに含まれる機能の1つであり、UTMはより広範な脅威に対応できる包括的なセキュリティソリューションといえます。
ファイアウォールの仕組みについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
UTMが必要とされる理由

近年、サイバー攻撃の手口は多様化・巧妙化の一途をたどっており、単一のセキュリティ対策では防ぎきれなくなっています。
ランサムウェアやフィッシング詐欺、標的型攻撃など、攻撃者は複数の手法を組み合わせて侵入を試みるため、多層的な防御が不可欠です。
また、複数のセキュリティ製品を個別に導入・管理する場合、それぞれの設定や運用、ライセンス管理などに多大な工数がかかります。
セキュリティ担当者の人員が限られている中小企業では、この負担が大きな課題となっていました。
UTMは、こうした多様な脅威への対応と運用負荷の軽減という2つのニーズに応える形で普及が進んでいます。
UTMの主な機能

UTMには、外部からの脅威を防ぐためのさまざまなセキュリティ機能が搭載されています。ここでは、代表的な6つの機能について解説します。
アンチウイルス
ネットワークを通過するデータをリアルタイムでスキャンし、マルウェアやウイルスを検知・駆除する機能です。
エンドポイント(PCやスマートフォンなど)に届く前の段階で脅威をブロックするため、端末への感染リスクを低減できます。定義ファイルの自動更新により、新種のウイルスにも迅速に対応します。
アンチウイルスの詳細について知りたい方は以下の記事をご確認ください。
アンチスパム
迷惑メールやフィッシングメールを自動的に判別し、受信をブロックする機能です。
業務に無関係なメールを排除することで従業員の業務効率低下を防ぐとともに、メール経由のサイバー攻撃から社員を守ります。
フィッシング詐欺による情報漏洩やマルウェア感染のリスクを軽減する重要な機能といえます。
ファイアウォール
社内ネットワークと外部ネットワークの間で通信を監視し、不正なアクセスを遮断する機能です。
許可されたトラフィックのみを通過させることで、外部からの侵入を防ぐ基本的な防御壁となります。IPアドレスやポート番号、プロトコルなどの情報をもとに通信の可否を判断します。
IDS / IPS
IDS(Intrusion Detection System:不正侵入検知システム)は、不正な通信パターンを検知してアラートを発する仕組みです。
一方、IPS(Intrusion Prevention System:不正侵入防止システム)は、検知に加えて不正な通信を自動的に遮断します。
ファイアウォールでは防げない既知・未知の攻撃パターンにも対応でき、多層防御の重要な一翼を担う機能です。
Webフィルタリング
業務に不適切なWebサイトや、マルウェアを配布している危険なサイトへのアクセスを制限する機能です。カテゴリ別にサイトを分類し、アクセスを許可・禁止するポリシーを設定します。
マルウェア感染や情報漏洩のリスクを減らすとともに、従業員が業務に集中できる環境を整えることにも貢献します。
アプリケーション制御
特定のアプリケーションやクラウドサービスの利用を許可・制限する機能です。
業務に不要なアプリの使用を防ぐことで、シャドーIT(IT部門が把握していないサービスの無断利用)によるセキュリティリスクを軽減します。
SNSやファイル共有サービスなど、データ漏洩の原因となりやすいアプリを制御することで、情報管理の強化に繋がります。
UTMを導入するメリット

UTMの導入により、企業は以下のようなメリットを得られます。
社内ネットワーク全体のセキュリティ強化に繋がる
1台で複数の脅威に対応できるため、社内ネットワーク全体を包括的に保護できます。
個別にセキュリティ製品を導入する場合、機能間の連携不足や設定漏れによって防御に穴が生じるリスクがありますが、UTMでは統合管理によってこうした抜け漏れを防ぎやすくなります。
また、各セキュリティ機能が連携して動作するため、攻撃の兆候を早期に検知し、被害を最小限に抑えられる点もメリットです。
セキュリティ担当者の運用負荷を軽減できる
複数のセキュリティ機能を一元管理できるため、運用・監視の手間を大幅に削減できます。
個別製品ごとに異なる管理画面やログを確認する必要がなく、UTMの統合管理コンソールから全体を把握できます。
専任のセキュリティ担当者がいない中小企業でも、比較的少ない工数で継続的なセキュリティ管理を実現できるでしょう。
コスト削減に期待できる
複数のセキュリティ製品を個別に購入するよりも、初期費用・運用費用を抑えられる場合が多くあります。
ハードウェアやソフトウェアのライセンス、保守契約を一本化できるため、管理コストの削減にも繋がります。導入後のアップデートやサポート窓口も一元化されるため、トラブル発生時の対応もスムーズです。
UTMを導入するデメリット

UTMには多くのメリットがある一方で、導入前に把握しておくべき注意点も存在します。
セキュリティ機能の拡張性が乏しい
UTMは統合型であるがゆえに、特定の機能だけを高度にカスタマイズすることが難しい傾向にあります。
たとえば、高度なWebアプリケーションファイアウォール(WAF)機能や、詳細なログ分析機能が必要な場合、UTMの標準機能では不十分なケースがあります。
専門的なセキュリティ要件がある企業では、UTMに加えて個別の専門製品を併用する必要が生じる場合もあるでしょう。事前にUTMの対応機能を確認しておくことが重要です。
障害が発生すると社内ネットワーク全体に影響が及ぶ
UTMに障害が発生した場合、全てのセキュリティ機能が同時に停止するリスクがあります。これは、UTMにより社内のセキュリティシステムを一元化しているためです。
さらに、UTMがネットワークのゲートウェイとして機能している場合、通信自体が遮断される可能性もあり、業務への影響が大きくなりやすい点に注意が必要です。
単一障害点(SPOF:Single Point of Failure)となりうるため、冗長構成の検討が重要になります。
通信速度に影響が出る場合がある
複数のセキュリティ機能が同時に動作するため、通信のスループット(処理能力)が低下することがあります。
特にトラフィック量が多い企業や、大容量ファイルを頻繁にやり取りする業務では、通信速度の低下が業務効率に影響を与える可能性があります。
導入前に自社のトラフィック量を正確に把握し、十分な処理性能を持つ機器を選定することが重要です。
UTMを導入する際の重要ポイント

UTMを効果的に活用するためには、導入前の検討と準備が欠かせません。ここでは、導入時に押さえておくべき4つのポイントを解説します。
自社の状況に適したサービスを選ぶ
従業員数や拠点数、日々のトラフィック量、必要なセキュリティ機能を洗い出してから製品を選定しましょう。
オーバースペックな製品を選ぶとコストが無駄になり、逆に機能不足だとセキュリティリスクが残ります。自社の規模や業務内容に最適なUTMを選ぶことが大切です。
サポート体制が充実しているサービスを選ぶ
導入後のトラブルや設定変更に迅速に対応してもらえるサポート体制があるかを事前に確認しましょう。
24時間365日対応の有無、日本語サポートの提供範囲、オンサイト対応の可否など、自社の運用体制に合ったサービスを選ぶと安心です。
また、定期的なファームウェアアップデートや脅威情報の提供など、継続的なサポートが受けられるかどうかも重要な判断基準となります。
障害時の対策を事前に行う
UTM障害時に業務が完全に停止しないよう、冗長構成の導入やバックアップ機器の準備を検討しておきましょう。
冗長構成が難しい場合でも、障害発生時の対応手順をマニュアル化し、関係者間で共有しておくことが重要です。
また、定期的なバックアップ設定の取得や復旧手順の確認・訓練を実施することで、万が一の際にも迅速な復旧が見込めます。
導入後の運用ルールを明確にする
UTM導入後のログ監視、ファームウェアアップデート対応、ポリシー変更の承認フローなど、日常的な運用ルールを事前に策定しておくことも重要です。
担当者の役割分担を明確にすることで、属人化を防ぎ、継続的なセキュリティ維持に繋がります。
定期的な設定見直しや、新たな脅威への対応方針も含めた運用計画を立てることにより、UTMの効果を最大限に引き出せます。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエのセキュリティ対策支援

画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
UTMを導入する際、自社に最適な製品選定や導入後の運用体制構築に不安を感じる企業も少なくありません。
「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」では、企業のセキュリティ課題に応じた総合的なセキュリティ支援を提供しています。
ネットワーク診断やペネトレーションテストを通じて現状のセキュリティリスクを可視化し、UTMを含めた適切なセキュリティ対策をご提案します。
経験豊富なホワイトハッカーや専門家が在籍しているため、高度なセキュリティ要件にも対応可能です。
UTMの導入を検討されている企業の方は、専門家への相談も選択肢の1つとして検討されてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、UTMの概要や主な機能、メリット・デメリット、導入時の重要ポイントについて解説しました。
UTMは複数のセキュリティ機能を1台に統合したソリューションであり、ファイアウォール、アンチウイルス、アンチスパム、IDS/IPS、Webフィルタリング、アプリケーション制御といった機能を備えています。
社内ネットワーク全体のセキュリティ強化、運用負荷の軽減、コスト削減といったメリットがある一方で、拡張性の乏しさや障害時の影響範囲、通信速度への影響といった注意点も存在します。
多様化するサイバー攻撃から企業を守るためには、UTMのような包括的なセキュリティ対策が不可欠です。
導入や運用に不安がある場合は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のような専門家の支援を受けることで、より確実なセキュリティ体制を構築できます。
自社の規模や業務内容に合わせた適切なUTM導入を検討し、安全なネットワーク環境を実現しましょう。
文責:GMOインターネットグループ株式会社