「SQLインジェクションとは何か?効果的な対策方法を知りたい」という疑問がある方もいるでしょう。
SQLインジェクションとは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用してデータベースを不正操作するサイバー攻撃のことです。
エラーベース型・ブラインド型・セカンドオーダー型など複数の手口があり、情報漏洩やデータ改ざんといった深刻な被害をもたらします。対策には専門知識や継続的な運用体制が必要です。
この記事では、SQLインジェクションの仕組みや手口、被害事例、対策方法について詳しく解説します。
目次
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- SQLインジェクションとは
- クロスサイトスクリプティングとの違い
- SQLインジェクションの仕組み
- SQL文の基本的な動き
- 被害を受けた場合の動き
- SQLインジェクションの最新動向
- SQLインジェクションの手口
- エラーベース型
- ブラインド型
- セカンドオーダー型
- SQLインジェクションによるリスク
- 情報漏洩
- データの改ざん・消去
- 不正ログイン
- マルウェア拡散の踏み台として悪用
- SQLインジェクションによる被害事例
- ECサイトから個人情報が最大12万件流出
- メールマガジン会員の個人情報が約27万件流出
- オンライン書店のWebページが改ざん
- 医薬品情報掲載サイトのデータベースが改ざん
- 大手住宅メーカーの会員制サイトで約30万人の個人情報漏洩
- 愛知全県模試のサーバー情報が一部流出
- SQLインジェクションの対策方法
- プレースホルダを使用する
- エスケープ処理を実行する
- ソフトウェアを常に最新の状態に保つ
- WAFを導入する
- 詳細なエラーメッセージを表示しない
- 脆弱性診断を実施する
- データベースサーバーのログを監視する
- SQLインジェクションに関するよくある質問
- SQLインジェクション攻撃はどのように発見される?
- SQLインジェクション対策にかかる費用はどの程度?
- 小規模企業でもSQLインジェクション対策は必要?
- SQLインジェクション攻撃を受けた後の対応手順は?
- SQLインジェクション攻撃者の主な目的は何?
- まとめ
SQLインジェクションとは

SQLインジェクションとは、Webアプリケーションのセキュリティ上の脆弱性を利用し、不正なSQL文を注入してデータベースを不正操作するサイバー攻撃のことです。「SQL」はデータベースを操作する言語の名称であり、「インジェクション」は注入を意味します。
具体的には、攻撃者が意図的に不正なSQL文を注入することで、データベース内の情報の盗み出しや改ざん、消去などを行います。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「安全なウェブサイトの作り方 - 1.1 SQLインジェクション」でも、このSQLインジェクションの注意喚起が行われています。
【関連記事】サイバー攻撃とは?種類や被害事例、対策方法についてわかりやすく解説
クロスサイトスクリプティングとの違い
クロスサイトスクリプティング(XSS)とは、Webサイトやアプリケーションの脆弱性を利用し、サイト利用者の個人情報盗難などの被害を及ぼすサイバー攻撃のことです。脆弱性を利用するという点では同じですが、両者は目的が大きく異なります。
SQLインジェクションはデータベースの不正利用を目的とする一方で、クロスサイトスクリプティングはWebサイトの信頼性を低下させるため、もしくはユーザーの個人情報を盗むために行われます。
SQLインジェクションの仕組み

SQLインジェクションの仕組みを、「SQL文の基本的な動き」と「被害を受けた場合の動き」に分けてそれぞれ解説します。攻撃の仕組みを理解することで、適切な対策を取る上での知識が深まります。
SQL文の基本的な動き
SQL文の基本的な動きとして、SQL文をアプリケーションの入力フィールドに注入することで、データベースに対して命令を送り、処理を実行します。
具体例を挙げると、Webサイトのログイン画面でのID入力欄に「氏名」を入力すると、特定のSQL文が生成され、そのSQL文がデータベースに送られます。その後、「氏名」に関する情報がデータベースから抽出され、Webサイトに表示されることで自身の情報を確認できます。
被害を受けた場合の動き
SQLインジェクションの被害を受けた場合、データベースの情報が流出したり、改ざんされたりする可能性があります。これは、不正なSQL文がデータベースで実行されるためです。
具体例として、脆弱性のあるWebサイトに不正な文字列が入力されると、その文字列によって不正なSQL文が生成されます。そのまま不正なSQL文がデータベースで処理されてしまい、結果として意図しない形でデータが抽出されます。
この動きにより、悪意のある第三者に本来データベース上で保存されている機密情報や個人情報が流出してしまうのです。
SQLインジェクションの最新動向

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している「ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況[2025年第2四半期(4月~6月)]」によると、SQLインジェクションは依然として深刻な脅威として存在しています。
2025年6月末時点でWebサイトの脆弱性に関する累計届出件数は13,381件に達し、届出された脆弱性の種類別の内訳では、SQLインジェクションが占める割合は全体の11%と高い水準を維持しているのです。
四半期ごとの推移を見ると新規届出は減少傾向にあるものの、修正完了までに90日以上を要する長期化案件が100件以上存在しています。
特に懸念されるのは、SQLインジェクションによる被害が企業規模を問わず発生している点です。現状、中小企業から大手企業まで幅広く標的になっています。
攻撃手法の巧妙化も進んでおり、従来の単純な文字列挿入から、AIを活用した自動化攻撃やゼロデイ脆弱性を狙った高度な手口へと進化しています。
このような状況を踏まえ、企業には定期的な脆弱性診断の実施と、迅速な修正体制の構築が強く求められているのです。
SQLインジェクションの手口

SQLインジェクションの攻撃手法は年々巧妙化し、企業のセキュリティ対策を脅かしています。以下、代表的な3つの攻撃手口をそれぞれ詳しく解説します。
エラーベース型
データベースが返すエラーメッセージを悪用して、システム内部の情報を段階的に収集する攻撃手法です。攻撃者は意図的に構文エラーを引き起こすSQL文を送信し、その反応を観察します。
エラーメッセージにはテーブル名やカラム名、データベースのバージョン情報など、攻撃に利用できる重要な手がかりが含まれることが多いのです。
例えば、シングルクォートを入力して構文エラーを発生させ、表示されるメッセージからデータベースの構造を推測していきます。
収集した情報を基に攻撃者は正確なSQL文を組み立て、最終的には管理者権限の奪取や機密データの窃取まで実行します。
ブラインド型
エラーメッセージが表示されない環境でも、レスポンスの違いを手がかりに情報を抽出する高度な攻撃手法です。真偽を判定する条件式を含むSQL文を送信し、画面表示やレスポンス時間の変化を観察します。
攻撃者は「もし条件Aが真なら5秒待機する」といった時間ベースの手法や、検索結果の有無による画面変化を利用して、1ビットずつ情報を収集していくのです。
この手法では、直接的なエラー情報が得られないため攻撃に時間はかかりますが、確実にデータを盗み出せる危険な方法といえます。
セカンドオーダー型
一次的な入力では発動せず、データベースに保存された後で別の処理によって実行される時限爆弾型の攻撃です。攻撃者は管理者の警戒が薄れたタイミングを狙って仕掛けを作動させます。
例えば、プロフィール情報に悪意あるコードを埋め込み、管理画面での表示時に管理者権限で実行されるよう設計される場合があります。
保存データを別の処理で使用する際にも適切なエスケープ処理を行わないと、予期せぬタイミングで攻撃が成功してしまうリスクがあるのです。
SQLインジェクションによるリスク

SQLインジェクションによる主なリスクを、以下4つの項目に分けてそれぞれ解説します。
情報漏洩
SQLインジェクションの不正操作により、情報漏洩が起こるリスクがあります。このリスクは、入力フォームから不正なSQL文が注入され、データベースの内容を不正に抜き取られるために発生します。
▼SQLインジェクションによる情報漏洩の例
- ユーザーのログインIDやパスワード
- 顧客の住所やクレジットカード情報
- 社内の機密情報や業績データ
情報が漏洩すると、個人は金銭的被害を受ける可能性があり、企業にとってはブランドイメージの低下や業績の悪化に繋がる恐れがあります。
データの改ざん・消去
Webサイトのデータが第三者の手で改ざんされたり、全て消去されたりする可能性があります。特に利益に直結するような情報を扱うWebサイトの場合、SQLインジェクションによって多大な損害を招いてしまいます。
▼SQLインジェクションによるデータの改ざん・消去の例
- 商品の価格や在庫情報の改ざん
- ユーザーのコメントやレビューの削除
- 会員情報や取引履歴の改変
このような攻撃は、ユーザーへの信頼喪失や売上減少をもたらす可能性が高まります。
不正ログイン
SQL文が利用されることで、Webサイトやサーバー内に不正ログインされるリスクも考えられます。具体的には、ログインの認証情報を回避することで、Webサイトやシステムへの不正アクセスが発生します。
特に管理者画面への不正アクセスを受けた場合、大きなトラブルに発展する可能性があるため早急な対処が求められます。
マルウェア拡散の踏み台として悪用
企業のWebサイトをマルウェア拡散の踏み台として悪用されるケースもあります。これは、第三者によってマルウェアそのものをデータとして登録されるほか、悪質なWebサイトのURLを登録されるなど複数の手口があるため注意が必要です。
マルウェア拡散の踏み台として利用された場合、サイト訪問者だけでなく、関係する周囲のネットワークにも大きな被害が及ぶ可能性があります。
SQLインジェクションによる被害事例

実際に起きたSQLインジェクションによる被害事例を6つ紹介します。被害事例を把握することで、SQLインジェクションへの理解がより明確になるはずです。
ECサイトから個人情報が最大12万件流出
2020年4月に事務用品を扱うECサイトで不正アクセスが発生し、個人情報が最大12万件流出した可能性がある事件が起きました。個人情報のほかにも、クレジットカード情報を含む顧客情報が94件盗み出されたとのことです。
不正アクセスの原因はSQLインジェクションだと報告され、対策のために該当するECサイトは一時閉鎖となりました。
メールマガジン会員の個人情報が約27万件流出
2018年6月にアウトレット運営会社がSQLインジェクションの不正アクセスを受け、メールマガジン会員の個人情報が約27万件流出しました。
調査報告では「ホームページ用サーバーに対する『SQLインジェクション攻撃』を用いた不正アクセスがあったことが確認され」と、SQLインジェクションによる被害だと明記されています。
オンライン書店のWebページが改ざん
SQLインジェクションの被害によって、オンライン書店のWebページが改ざんされる事件が2008年5月に発生しました。
第三者による改ざんにより、該当するWebページにアクセスすると悪意のあるWebサイトに誘導され、マルウェアやウイルスに感染する危険性があったとのことです。被害拡大を防ぐため、対象のWebサイトは一時的に閉鎖されました。
医薬品情報掲載サイトのデータベースが改ざん
2024年12月29日、医薬品関連の情報提供サイトがSQLインジェクション攻撃を受け、データベースの大規模な改ざん被害が発生しました。
攻撃者は脆弱性を突いてシステムに侵入し、製品名や資材名の複数箇所に外部不正サイトへのリンクを挿入したのです。
被害発覚は翌30日の夜で、職員が製品名欄の異常な記載を発見したことがきっかけとなり、深夜にかけて全システムの緊急停止措置が取られました。
調査の結果、Webサイトのプログラムに存在したSQLインジェクションの脆弱性が原因だと判明しました。データベース内の複数項目が改ざんされていたことが確認されています。
大手住宅メーカーの会員制サイトで約30万人の個人情報漏洩
2024年5月24日、大手住宅メーカーはSQLインジェクション攻撃によって大規模な個人情報漏洩が起きたことを発表しました。
攻撃の標的となったのは、2008年から2011年まで使用されていた古いフォトギャラリーページで、現在は運用停止していたにも関わらずアクセス可能な状態が続いていました。
流出した情報は会員のメールアドレス、ログインID、パスワード約10万8,000件に加え、漏洩の可能性がある顧客情報が46万件以上に及びます。
さらに、従業員や協力会社スタッフの情報も18万件以上が流出し、企業の内部情報まで危険にさらされる結果になりました。
愛知全県模試のサーバー情報が一部流出
2025年4月下旬、教育関連企業が運営する模試サイトがSQLインジェクション攻撃を受け、約30万件に及ぶ個人情報が流出する事態が発生しました。
事件による被害は、塾関係者の情報約8,000件と受験者の個人情報約28万2,000件に及びます。
企業側は一部のデータに暗号化措置を講じていたものの、完全な防御には至らず、多数の関係者に影響を与える結果となりました。
不正アクセスの発覚から公表まで約2ヶ月を要しており、この期間中に被害者への個別連絡や個人情報保護委員会への報告など、事後対応に追われることになりました。
SQLインジェクションの対策方法

SQLインジェクションの脅威に遭う前に、効果的な対策を図ることが重要となります。具体的な対策として、以下7つの方法を解説します。
プレースホルダを使用する
1つ目に、プレースホルダを使用する方法が挙げられます。プレースホルダとは、SQL文の中の変動箇所に使用する特殊な記号や文字列のことです。
入力箇所は値として処理されるため、不正なSQL文が入力されたとしても、命令に関わるような特殊文字は無効化されます。これにより、不正SQL文による実行リスクを防ぐことができます。
エスケープ処理を実行する
エスケープ処理を実行する方法も1つの手段です。エスケープ処理とは、特殊な文字を一般的な文字列として扱うための処理のことです。この処理により、悪意のあるSQL文を無害化できます。
例えば、攻撃者によって不正なSQL文が入力されたとしても、攻撃コードに含まれる特定の文字列や記号を削除し、処理によって安全なSQL文に置き換えることが可能です。その結果、SQLインジェクションの攻撃を阻止できるようになります。
ソフトウェアを常に最新の状態に保つ
ソフトウェアを最新の状態に保つことで、システムの脆弱性を改善できます。古いソフトウェアは脆弱性を抱える可能性が高く、場合によってはそれが攻撃の入り口となります。
定期的なアップデートを実行し、脆弱性を修正することで、SQLインジェクションによるリスクを軽減することが可能です。常にアップデート状況を確認し、対応が求められる場合は迅速に行うことが大切です。
WAFを導入する
WAFの導入もSQLインジェクション防止に役立ちます。WAFとは、「Web Application Firewall」の略称で、Webアプリケーションを保護するファイアウォールのことです。主に以下のような機能を持ちます。
▼WAFの主な機能
- 通信監視・制御機能
- Cookie保護機能
- IPアドレス拒否機能
- ログ・レポート機能
WAFを導入することでSQLインジェクションはもちろんのこと、XSSやCSRFなど幅広いサイバー攻撃に高い効果が期待できます。特に大規模なWebサイトや取引情報を取り扱うサイトには、WAFの導入は必須だといえるでしょう。
詳細なエラーメッセージを表示しない
本番環境では詳細なエラー情報の露出を避け、攻撃者に手がかりを与えない設定が不可欠です。データベースの構造やテーブル名が推測できるようなメッセージは、汎用的な内容に置き換える必要があります。
開発時には詳細なデバッグ情報が必要ですが、公開サーバーでは「システムエラーが発生しました」といった簡潔な表示に留めるべきでしょう。
エラーログは内部的に記録しつつも、ユーザー側には最小限の情報のみ提供するという二重構造が理想的です。
脆弱性診断を実施する
システムの弱点を事前に発見し修正するため、定期的な脆弱性診断の実施が強く推奨されています。
自動スキャンツールによる簡易診断から、セキュリティ専門企業による詳細な手動診断まで、予算と重要度に応じた選択肢があります。
特にWebアプリケーションの更新後や新機能追加時には、必ず診断を実施して新たな脆弱性が生まれていないか確認することが大切です。
年1回程度の定期診断に加え、重要な変更時には都度診断を行うことで、継続的なセキュリティ水準の維持が実現します。脆弱性診断のやり方や重要性については以下の記事で解説しています。
データベースサーバーのログを監視する
異常なSQL実行やアクセスパターンの早期発見には、ログの継続的な監視体制が欠かせません。
通常とは異なる時間帯のアクセスや大量のデータ取得要求など、不審な動きを自動検知する仕組みの構築が重要です。SIEMツールを導入すれば、複数のログを統合分析して高度な脅威検知も行えます。
ただし、ログの保存期間や分析頻度は、システムの重要度とコストのバランスを考慮して決定する必要があります。
アラート設定の反応調整も運用上の課題となりますが、誤検知を恐れて感度を下げすぎると本当の攻撃を見逃すリスクがあるため、慎重に調整することが大切です。
SQLインジェクションに関するよくある質問

企業のセキュリティ担当者から寄せられるよくある疑問について、実践的な観点から回答します。
SQLインジェクション攻撃はどのように発見される?
攻撃の兆候は、サーバーの異常な負荷上昇やデータベースのスロークエリ増加として現れることが多い傾向にあります。
WAFのアラート機能が不正な文字列パターンを検知したり、IDSが異常なトラフィックを感知したりするケースもあります。
また、ユーザーからの「サイトの動作がおかしい」という報告が発見のきっかけになることも珍しくありません。
場合によっては、定期的なログレビューで不自然なSQLクエリを発見したり、データベースの監査機能が権限昇格の試みを記録したりすることもあります。
SQLインジェクション対策にかかる費用はどの程度?
SQLインジェクションの対策費用は実施する対策レベルによって大きく異なります。
初期投資としてWAF導入に50万〜500万円程度、年間の運用費用として数十万〜数百万円が一般的な相場です。脆弱性診断は1回あたり30万〜200万円程度で、診断対象の規模により大きく変動します。
クラウド型のWAFサービスなら月額数万円から利用でき、中小企業でも導入しやすい価格帯となっているのが現状です。根本的な対策には相応の金額と手間が必要になります。
小規模企業でもSQLインジェクション対策は必要?
顧客情報を1件でも保有している限り、企業規模を問わずセキュリティ対策の責任が発生します。
個人情報保護法では安全管理措置が義務付けられており、違反時には最大1億円の罰金が科される可能性があるため、必ず対策を実施しましょう。
攻撃者にとって中小企業は大企業より防御が甘い標的として狙われやすく、踏み台として悪用されるリスクも高まっています。
コストをかけずに実施できる対策は多数存在します。オープンソースのセキュリティツールやクラウドサービスを活用すれば、大企業と同等レベルの防御も実現可能です。
SQLインジェクション攻撃を受けた後の対応手順は?
攻撃を確認したら直ちに該当システムをネットワークから切り離し、これ以上の被害拡大を防ぐことが最優先事項となります。
次に証拠保全のためログやメモリダンプを確保し、フォレンジック調査の準備を整えます。並行して個人情報保護委員会への報告準備を進めましょう。
影響を受けた可能性のある顧客への通知は、事実関係が明確になり次第速やかに実施することが求められています。警察への被害届提出や、必要に応じて専門のインシデント対応チームへの支援要請も検討しましょう。
SQLインジェクション攻撃者の主な目的は何?
金銭目的での個人情報窃取が最も一般的で、クレジットカード情報や銀行口座データが主要な標的となっています。産業スパイ活動として、企業の機密情報や知的財産を狙うケースもあります。
政治的ハクティビストによる主張の発信や、単純な愉快犯による破壊行為という動機も無視できません。
また、競合他社への妨害工作として、意図的にサービスを停止させたりブランドイメージを毀損させたりする攻撃も確認されています。
最終的な目的が何であれ、企業にとっては甚大な被害をもたらすため、動機を問わず万全の対策が求められます。
まとめ
この記事では、SQLインジェクションの仕組みや手口、被害事例、対策方法について解説しました。
SQLインジェクションには、エラーベース型やブラインド型、セカンドオーダー型など、さまざまな手口が存在します。
プレースホルダの使用やWAF導入といった複数の対策を組み合わせることで、攻撃を効果的に防げます。
企業規模を問わずSQLインジェクションの対策が必要であり、インシデント発生時の迅速な対応手順の整備も重要です。企業の情報資産を守り抜くためにも、継続的なセキュリティ対策を実施しましょう。
文責:GMOインターネットグループ株式会社