なりすましメールとは、実在する企業や個人を装って送られてくる偽装メールのことです。
フィッシング対策協議会の報告によると、2025年10月の被害報告件数は22万件を超えており、企業・個人を問わず誰もが標的になり得る状況が続いています。
なりすましメールの被害を受けないためには、送信元の直接確認や従業員の教育、メールセキュリティの導入などが必要です。
この記事では、なりすましメールの代表的な手口や被害リスク、見分けるためのポイント、対策方法について解説します。
目次
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なりすましメールとは

なりすましメールとは、実在する企業や個人を装って送られてくる偽装メールのことを指します。
攻撃者は受信者を騙して個人情報を盗み取ったり、不正なWebサイトへ誘導したりする目的でこうしたメールを作成します。
送信元の表示名やメールアドレスを巧みに偽装することで、一見すると本物の連絡に見えるよう細工されている点が特徴です。
受信者が偽装に気付かずにリンクをクリックしたり添付ファイルを開いたりすると、金銭的被害や情報漏洩といった深刻な事態に発展するリスクがあります。
近年はAI技術を悪用して文面の自然さが増しており、見分けることがますます困難になっています。
なりすましメールは増加傾向にある

フィッシング対策協議会の「2025/10 フィッシング報告状況」によると、2025年10月に寄せられたフィッシング報告件数は225,796件に達しました。
前月と比較して1,103件の増加となっており、なりすましメールを含むフィッシング被害は拡大の一途をたどっています。
報告数の内訳を見ると、EC系が全体の約25.3%を占めて最多となり、続いてクレジット・信販系が約23.0%、配送系が約10.1%という結果でした。
特にクレジット・信販系のブランドを騙るフィッシングが多く、クレジット・信販系が23ブランド、金融(銀行)系が17ブランド、証券系が10ブランドと続いています。
こうした統計からも明らかなように、なりすましメールへの対策は企業・個人を問わず喫緊の課題といえるでしょう。
なりすましメールの手口

なりすましメールは、攻撃者の目的に応じてさまざまな手法が用いられます。以下、代表的な3つの攻撃パターンをそれぞれ詳しく解説します。
フィッシング詐欺
銀行やクレジットカード会社、大手ECサイトなどを装ったメールで偽のログインページに誘導し、IDやパスワード、個人情報を入力させる手口です。
「アカウントの確認が必要です」「不正利用の疑いがあります」といった緊急性を煽る文面で受信者の冷静な判断力を奪い、偽サイトへのアクセスを促します。
盗み取られた認証情報は不正送金やクレジットカードの悪用に使われ、気付いたときには多額の金銭を失っているケースも珍しくありません。
近年は証券口座を狙ったフィッシングが急増しており、資産運用を行う方は特に警戒が必要です。フィッシング詐欺については以下の記事で詳しく解説しています。
ワンクリック詐欺
メール内のリンクを1回クリックしただけで、高額な料金請求画面が突然表示されて支払いを迫る詐欺手法です。
「会員登録が完了しました」「利用料金が発生しています」などの文言とともに、支払期限や振込先が記載された画面が現れます。
受信者の不安や焦りにつけ込んで金銭を騙し取ろうとする悪質な手口です。
画面に表示された電話番号に連絡してしまうと、さらなる個人情報の聞き出しや追加請求に発展するリスクがあります。
マルウェア感染
添付ファイルや本文中に埋め込まれたリンクを通じて、受信者のコンピュータにウイルスやマルウェアを送り込む攻撃パターンです。
請求書や見積書、履歴書などビジネスでよく扱われる文書に偽装されていることが多く、業務の流れで自然に開封してしまいやすい点が厄介です。
感染すると機密情報の窃取やシステムの破壊、ランサムウェアによるデータの暗号化といった深刻な被害が発生します。
一度の不注意が組織全体のセキュリティを脅かす事態に発展しかねないため、添付ファイルの取り扱いには細心の注意が求められます。マルウェア感染の詳細については以下の記事をご確認ください。
なりすましメールの被害リスク

なりすましメールに騙されると、個人だけでなく組織全体に重大な損害が生じる可能性があります。主な被害リスクとして以下のようなものが挙げられます。
▼なりすましメールによる具体的な被害リスク
- 銀行口座からの不正送金やクレジットカードの不正利用による金銭的損失
- マルウェア感染によるシステム停止と業務中断に伴う機会損失
- 顧客情報や機密データの流出による信用失墜と損害賠償リスク
- ビジネスメール詐欺(BEC)による数千万円〜数億円規模の振込被害
- 自社ドメインの悪用によるブランドイメージの毀損と二次被害の発生
取引先を装ったなりすましメールに騙されて振込先を変更してしまう「ビジネスメール詐欺(BEC)」では、数千万円から数億円規模の被害が発生した事例も報告されています。
こうしたリスクを認識した上で、組織的な対策を講じることが不可欠です。
なりすましメールを見分ける方法

巧妙化するなりすましメールを見抜くためには、複数の観点からチェックを行う習慣が重要です。以下、確認すべき重要な3つのチェック項目を解説します。
メール本文に違和感がないか確認する
日本語の表現が不自然だったり、誤字脱字が目立ったりする場合は、偽装メールである可能性を疑うべきです。
正規の企業が送信するメールでは通常起こりにくい文法ミスや不自然な敬語の使い方が見られたら、それは危険信号といえます。「お客様各位」など宛名が曖昧な場合も注意が必要です。
ただし、近年はAIを活用して自然な日本語を生成する手口も増えているため、文面だけで判断せず複合的なチェックを行うことが肝心です。
送信元のドメインを確認する
メールの送信者欄に表示されているアドレスが公式ドメインと一致しているかを確認しましょう。
攻撃者は「amazon-support.com」や「faceb00k.com」のように、正規ドメインに似せた文字列を使って受信者を欺こうとします。
メールソフトによっては表示名だけが見える設定になっている場合もあるため、必ず実際のメールアドレス全体を確認する習慣をつけてください。
公式サイトに掲載されている問い合わせ用アドレスと照合すれば、正規の送信元かどうかをより確実に判断しやすくなります。
添付されたURLと公式サイトのURLを比較する
メール本文に記載されたリンクにマウスカーソルを重ねると、実際のリンク先URLがポップアップ表示されます。この表示されたURLが、正規Webサイトのアドレスと一致しているかを照合してください。
リンク先が明らかに偽装サイトであると判断できた場合は、絶対にアクセスせず、メールを速やかに削除して被害を未然に防ぎましょう。
判断に迷う場合は、ブラウザから直接公式サイトにアクセスして該当の案内があるか確認する方法が確実です。
なりすましメールの対策方法

技術的な対策と人的な対策の両面からアプローチすることで、なりすましメールによる被害を効果的に防げます。ここでは、実践すべき効果的な対策を7つ紹介します。
怪しいメールをすぐに削除する
見覚えのない送信者からのメールや、内容に不審な点があるメッセージは開かずに削除してください。
添付ファイルをプレビューするだけでもマルウェアに感染するリスクがあるため、疑わしいメールには一切触れない姿勢が重要です。
削除をためらってしまう場合は、後述する方法で送信元に直接確認を取ってから判断しても遅くありません。
また、不審なメールを発見したら社内の情報セキュリティ担当者に報告し、組織全体で情報を共有する体制を整えておくことも効果的です。
送信元に直接確認する
取引先や知人から届いたメールであっても、内容に少しでも疑問を感じたら電話など別の手段で本人に連絡して真偽を確かめてください。
メールへの返信で確認を取ろうとすると、攻撃者とやり取りしてしまう危険性があるため避けるべきです。
確認の際は、メールに記載された連絡先ではなく、名刺や社内システムなど事前に把握している正規の連絡先を使うことが鉄則となります。
振込先の変更依頼や緊急の送金指示など、金銭が絡む内容については特に慎重な確認が求められます。
従業員教育を強化する
なりすましメールの特徴や見分け方を社員に教育することで、組織全体のセキュリティ意識を底上げできます。
座学での研修だけでなく、実際のフィッシングメールを模した訓練を実施すれば、従業員が実践的な判断力を身につけやすくなります。
また、怪しいメールに遭遇した際の対処法が記されたマニュアルを作成し、全社で共有する方法も効果的な対策の1つです。
継続的な教育投資が、人的要因による被害を減らして組織の防御力を長期的に高める土台となります。
メールアドレスやパスワードを定期的に変更する
認証情報が漏洩した場合に備えて、メールアドレスやパスワードは定期的に更新しましょう。
複数のサービスで同じメールアドレス・パスワードを使い回していると、1つの漏洩が他のアカウントへの侵入を許す連鎖的な被害に繋がりかねません。
可能であればサービスごとに異なる複雑なパスワードを設定した上で、パスワード管理ツールを用いて安全に管理しましょう。
二段階認証を活用する
IDとパスワードに加えて、ワンタイムコードや生体認証などの追加確認ステップを設定することで、セキュリティを大幅に強化できます。
万が一パスワードが盗まれたとしても、二段階認証が有効であれば攻撃者の不正アクセスを効果的に防げます。
設定に多少の手間はかかりますが、被害に遭った場合の損失と比較すれば十分に価値のある対策といえるでしょう。多要素認証の設定方法については以下の記事で解説しています。
メールの拒否設定を行う
特定のドメインや送信者からのメールを自動的にブロックする機能を活用するのも有効です。
メールサービスやセキュリティソフトの迷惑メールフィルタを適切に設定すれば、既知の悪質な送信元を遮断できます。
組織で利用しているメールサーバーにSPF、DKIM、DMARCといった送信ドメイン認証技術を導入した場合、なりすましメールの判別精度を高められます。
ただし、攻撃者は常に新しいドメインや手法を用いてくるため、拒否設定だけで完全に防げるわけではありません。
メールセキュリティを導入する
高度な脅威検知機能を備えたセキュリティソリューションを導入し、なりすましメールを自動で識別・遮断する仕組みを整える方法もおすすめです。
従来のシグネチャベースでは検知しにくい巧妙な偽装メールも高精度で発見しやすくなります。
サンドボックス機能を搭載したソリューションなら、添付ファイルを仮想環境で実行して未知のマルウェアを検出する能力も備えています。
導入コストと運用負荷を考慮しつつ、自社の規模や業務特性に合った製品を選定することが成功の鍵となるでしょう。
ActSecureクラウドメールセキュリティ byGMOのなりすまし対策

画像引用元:ActSecureクラウドメールセキュリティ byGMO
なりすましメールへの対策を検討している場合、「ActSecureクラウドメールセキュリティ byGMO」の活用が選択肢の1つとなります。
このサービスはゲートウェイ方式を採用しており、メールがサーバーに届く前の段階でウイルスやスパムをチェックする仕組みです。
DNSのMXレコードを変更するだけで利用を開始できます。既存のメール環境に大きな変更を加えることなく導入することが可能です。
URLリンクを一定期間継続的に検査する機能も搭載されているため、メール配信後に仕掛けられる脅威への備えとしても有効です。低コストでメールセキュリティを実施したい企業様はぜひご相談ください。
まとめ
この記事では、なりすましメールの増加傾向や手口、被害リスク、見分け方、対策方法について解説しました。
なりすましメールにはフィッシング詐欺やワンクリック詐欺、マルウェア感染といった手口があり、2025年10月の報告件数は22万件を超えるなど被害は拡大の一途をたどっています。
送信元ドメインの確認やURLの照合など基本的な見分け方を身につけるとともに、怪しいメールには触れない習慣づけが欠かせません。
従業員教育の強化や二段階認証の活用など、技術面と人的対策の両輪で防御体制を整えることが重要です。
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文責:GMOインターネットグループ株式会社