ブランドTLD(トップレベルドメイン)とは?取得するメリット・課題を解説

「ブランドTLDとは何?どのようなメリットがあるの?」という疑問がある方もいるのではないでしょうか。

ブランドTLDとは、企業が独自に取得し、自社専用として運用できるトップレベルドメインのことです。

信頼性向上やブランドアイデンティティの強化、なりすまし防止、マーケティング強化など、従来のドメインでは得られない競争優位性を獲得できます。

しかし、高額な費用と複雑な申請プロセスが必要であり、ICANNでの厳格な審査を通過しなければなりません。

この記事では、ブランドTLDの概要や取得メリット、課題、取得までの流れについて解説します。

目次

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  1. ブランドTLD(トップレベルドメイン)とは
  2. ブランドTLDを取得している企業
  3. ブランドTLD誕生の経緯
  4. ブランドTLDを取得するメリット
  5. ブランドの信頼性向上に繋がる
  6. ブランドアイデンティティを強化できる
  7. なりすましの防止に役立つ
  8. マーケティング強化が見込める
  9. ブランドTLDを取得する際の課題
  10. ブランドTLDの申請費用
  11. ブランドTLDを取得するまでの流れ
  12. 意思決定と申請準備
  13. ICANNへの申請
  14. 要件の確認
  15. 審査結果
  16. 契約・移行作業
  17. GMOブランドセキュリティのブランドTLD支援サービス
  18. まとめ

ブランドTLD(トップレベルドメイン)とは

ブランドTLD(トップレベルドメイン)とは、企業が独自に取得し、自社専用として運用できるトップレベルドメインのことです。

通常のドメインでは「.com」や「.jp」といった汎用的な文字列が使用されますが、ブランドTLDでは、自社ブランド名や企業名をドメインの最上位階層として使用できます。

たとえば、通常のドメインだと「example.com」となりますが、ブランドTLDの場合は「global.example」のような形で、企業名そのものがドメインの一部となるのです。

企業名がドメインに含まれることで公式サイトであることが瞬時に判別でき、厳格な審査を通過した企業のみが取得できることから、インターネット上での企業の独自性と信頼性を向上させることができます。

ブランドTLDは厳格な審査を通過した企業のみが取得でき、なりすまし対策やブランディング強化において高い効果を発揮します。

ブランドTLDを取得している企業

Apple社の「.apple」やGoogle社の「.google」などが代表的な事例として挙げられます。

これらの企業は自社のコーポレートサイトや製品サイトでブランドTLDを積極的に活用し、統一感のあるブランド体験を実現しています。

金融機関では、「.jpmorgan」や「.barclays」といったブランドTLDが運用されており、高い信頼性が要求される業界でも導入が進んでいるのが現状です。

また、BMW社の「.bmw」やCanon社の「.canon」など、製造業でもブランドTLDの活用事例が増加しています。

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ブランドTLD誕生の経緯

ブランドTLDの誕生は、2012年にICANNが開始した新gTLDがきっかけとなりました。

当初は「.web」や「.shop」のような一般名詞や特定コミュニティ向けのドメインが主流になると想定されていましたが、実際の申請状況は大きく異なる結果となったのです。

全申請件数1,930件のうち、企業のブランド名を使用したドメイン申請が4割弱を占めており、企業の独自ドメインへの関心の高さが明らかになりました。

従来のドメイン管理体制では、第三者への登録サービス提供が前提とされていました。ところが、ブランド申請企業は自社組織内での限定的な利用を希望していたのです。

この企業ニーズに応えるため、関係企業によってブランドレジストリグループが組織され、政策提言活動を通じて制度改革を推進しました。

その結果、2014年に専用の運用規則である「仕様書13」が策定され、企業が自社ブランドを活用した独自ドメインを運営できる制度的基盤が確立されたのです。

ブランドTLDを取得するメリット

ブランドTLDの導入により、企業は従来のドメイン運用では得られない複数の競争優位性を獲得することが期待できます。以下、4つの主要なメリットをそれぞれ解説します。

ブランドの信頼性向上に繋がる

独自のTLDを持つことで、企業の権威性と信頼度が向上します。

従来の「.com」ドメインでは、正規サイトと偽サイトの区別が困難な場合がありますが、ブランドTLDなら瞬時に公式性を認識可能です。

「.com」ドメインは誰でも取得できることから「apple-store.com」や「google-official.com」のような紛らわしいドメインを第三者が作成できるのに対し、ブランドTLD(「.apple」や「.google」など)はその企業のみが管理・使用できます。

そのため、トップレベルドメインにブランド名が含まれていれば、ユーザーは確実に公式サイトと判別することができるのです。

特にECサイトや金融サービスにおいて、この信頼性の向上効果は顧客の購買行動に直接的な影響を与えるでしょう。

また、検索エンジンやAI検索においても、運営者の透明性が高く評価され、検索結果での上位表示に有利に働く可能性があります。

ブランドアイデンティティを強化できる

企業名やブランド名がURLに含まれることで、統一感のあるブランド体験を実現します。

広告・メール・印刷物など、あらゆる媒体でブランドTLDを使用することにより、顧客接点での統一性が確保されます。

サブドメインやディレクトリ構造においても、ブランド名を軸とした整理が行えるため、サイト構造の理解しやすさも向上します。

言語や地域に関係なく一貫したブランド表現が可能となり、グローバルブランディングの効率化に寄与するでしょう。

なりすましの防止に役立つ

企業が独自のTLDを所有することで、そのTLD配下の全てのドメインを独占的に管理できるため、悪意のある第三者による偽サイト作成を構造的に防止できます。

従来のドメインでは、類似する文字列を使った偽サイトの作成が容易でしたが、ブランドTLDでは企業が完全にコントロール可能です。

たとえば、「.apple」を取得したApple社であれば「store.apple」や「support.apple」といったサブドメインを作成・使用できますが、第三者は一切これらのドメインを取得できません。

企業は用途や部署に応じて自由にサブドメインを設定でき、利用範囲やセキュリティポリシーなども自社の運用方針に従って決定できます。

メールアドレスにおいても同様の効果があり、なりすましメールの送信を根本的に防ぐことが期待できます。

サプライチェーン全体でブランドTLDを統一使用することで、取引先や顧客が正規の連絡先を簡単に識別できるようになるでしょう。

マーケティング強化が見込める

マーケティング強化も大きなメリットの1つです。ブランドTLDを使用したURLは、広告やSNSでの共有時に高い視認性を発揮し、クリック率向上に寄与します。

ドメイン名自体がブランド名そのものであるため、口コミやバイラルマーケティングにおいても強力な効果を発揮します。

このようなマーケティング効率の向上により、顧客獲得コストの削減と獲得率の向上が同時に実現できます。

ブランドTLDを取得する際の課題

ブランドTLD取得には高額な費用と複雑な手続きが必要であり、企業にとって大きな負担となる場合があります。

初期申請費用だけで数千万円規模の投資が必要となるほか、年間の運用費用も相当額が発生しますが、ブランドの信頼性向上やなりすまし防止、マーケティング効果などの長期的なメリットを考慮すると、投資に見合う価値を得られる可能性があります。

申請時の課題として、ICANNへの申請プロセスは非常に複雑で、法務・技術・財務の各分野で厳格な要件を満たす必要がある点には注意が必要です。

長期的な運用体制の構築と技術的な専門知識が求められるため、社内リソースの確保や外部パートナーとの連携が不可欠となります。

さらに、取得後の運用においても、DNS管理やセキュリティ対策、技術サポートなど、継続的な専門的対応が必要です。

これらの課題を十分に検討し、長期的な投資対効果を慎重に評価することが重要です。

ブランドTLDの申請費用

ブランドTLD取得には、ICANNに対する高額な費用負担が必要となります。

2026年4月に受付開始されるセカンドラウンドでは、申請手数料として、22​万​7,000ドル(約3,292万円)の支払いが求められます。

審査を通過してブランドTLDの運営が開始された後は、毎年の維持管理費として2万5,800ドル(約374万円)の継続的な支出が必要です。

さらに運営するドメインの規模が拡大し、登録件数が5万件を超えた場合には、超過分に対して1件あたり0.25ドル(約​36.2円)の追加料金が加算される仕組みとなっています。

なお、申請プロセスにおいて拡張評価を選択した場合や異議申し立てが発生した際には、これらの基本料金とは別に数万ドルから数十万ドル規模の追加費用が必要となる可能性もあります。

とはいえ、ブランドTLDのもたらす効果(ドメイン防衛費用の削減貢献、ブランド価値向上による売上貢献、広告・宣伝費の効率化、万が一の損失回避効果など)を考慮すれば、これらの費用は将来的な利益を生み出す戦略的投資として十分に価値があるといえるでしょう。

ブランドTLDを取得するまでの流れ

ブランドTLD取得は複数の段階を経て慎重に進める必要があり、通常1年程度の期間を要します。以下、ブランドTLDを取得するまでの流れを5つのステップに分けて解説します。

▼ブランドTLDを取得するまでの流れ

  1. 意思決定と申請準備
  2. ICANNへの申請
  3. 要件の確認
  4. 審査の実施
  5. 契約・移行作業

意思決定と申請準備

まず経営陣による戦略的な意思決定と社内体制の整備から開始します。ブランドTLD取得の目的・予算・運用方針を明確化し、関係部署間での合意形成を図ることが重要です。

法務・IT・マーケティング各部門での責任分担と連携体制を構築しておく必要があり、部門をまたがる横断的なプロジェクト管理体制の確立も欠かせません。

外部の専門コンサルタントとの連携については、早期検討が推奨されます。また、ICANNの複雑な要求事項に対応するための専門知識の確保も不可欠です。

ICANNへの申請

国際的なドメイン管理機関であるICANNに正式な申請を提出する段階では、技術仕様書・財務証明書・運用計画書などの膨大な英語書類の作成が必要となります。

申請期間は限定的で、次回の申請機会まで数年待つ可能性もあるため、一度の機会で確実に申請を通すための準備が求められます。

専門家のサポートを受けながら完璧な書類作成に努めることが重要です。

また、正確な情報での申請提出と申請費用の支払いを同時に実施し、ICANNの定める厳格な手続きに従って進行させる必要があります。

要件の確認

申請が完了した後は、企業の技術インフラの構築状況、運用体制の整備状況、財務健全性の証明など多角的かつ厳格な審査が実施されます。

第三者による評価や監査が必要な項目では外部機関との調整も発生し、国際的な基準に適合した証明書類の準備や専門機関による認証取得が必要となります。

要件を満たすための追加投資や、体制変更が必要となるケースも珍しくありません。時には数百万円規模の追加投資が求められる場合もあります。

審査結果

ICANNによる厳格な審査が行われ、結果が出るまでに通常数ヶ月から半年程度の期間を要します。

長期的な視点での計画が不可欠であり、この期間中も継続的な準備と対応が求められます。

修正や再提出が必要となる場合もあるため、継続的な対応体制の維持が重要です。社内リソースの確保と外部専門家との連携体制を維持し続ける必要があります。

契約・移行作業

審査通過後のICANNとの契約締結と技術的な移行作業を実施する最終段階では、既存ドメインからの移行計画を策定し、サービスの継続性を確保します。

また、運用開始後の監視体制・サポート体制・緊急時対応手順の整備も欠かせません。

従業員向けの教育とガイドライン策定により組織全体での活用体制を完成させ、ブランドTLDの価値を最大化するための運用ノウハウの蓄積と継承を図ります。

GMOブランドセキュリティのブランドTLD支援サービス

画像引用元:GMOブランドセキュリティ

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さらに、SSL/TLS証明書、サーバー・ホスティング、サイバーセキュリティ関連サービスなど、付随するITインフラサービスをワンストップで活用することで、企業は安心してブランドTLDの活用に専念できます。

まとめ

この記事では、ブランドTLDの概要や取得メリット、課題、取得までの流れについて解説しました。

ブランドTLDは企業の信頼性向上とブランドアイデンティティ強化を実現し、なりすまし対策やマーケティング効果の向上にも寄与する強力なドメインです。

AppleやGoogleなどの先進企業がすでに活用しているように、デジタル時代における新たなブランド戦略の選択肢として注目されています。

ブランドTLDの取得で悩んでいる企業様は、ぜひ「GMOブランドセキュリティ」にご相談ください。

文責:GMOインターネットグループ株式会社